販路コーディネート・ストーリー VOL.3

コードバン・カンガルー革のランドセル通販「ランドセルのまるいや」

短期集中で最も成果の上がった通販サイト

「ネット通販売上 3か月で月商100万円達成!」
よくある「ネット通販コンサルタント大先生」の“王道 広告コピー”のようなタイトルですが、実話です。
それが今回、ご紹介する「ランドセルのまるいや」柳岡壮一さん。

2012年3月末で御年80歳を迎え、潔く商売から引退しました。

少しもったいなく残念な気がしましたが、すっぱりと引退しましたので、通販サイトもWEBサイトも閉店。売上やノウハウに関しても、柳岡さんの良心的なご理解の元、出来る限りご紹介したいと思います。

“奇跡の出会い”からランチェスター地域営業戦略を知る

最初の出会いは、2005年

「ランドセルを飛び込みで年間500個も売っている、すごい人が居る」と、知人から聞きました。

「え?ランドセルって売ってるの?」・・・

これが私の第一のイメージでした。

それもそのはず、私の場合、ランドセルは行政から支給される地域に住んでいたので街中で売っているのを見たことがありませんでした。

関心が無かったと言えば、それまでですが茨城県全部がランドセル支給でテレビCMは他県の話だろう・・・

こんなイメージでいましたが、調べてみると「ランドセル支給の地域」は、ほんの一部であることが分りました。

この時は、自分の視野の狭さに深く反省したのと、いつもアンテナを広げておかなければ有益なヒントが得られないと実感しました。

当時、私はまだ会社員で、同じく「飛び込み営業」を毎日繰り返えしていましたので、「そのおじさん、どうやって売ってるの?」と思い、どうしても一度会って、詳しく何かヒントがあったら教えて欲しいという思いに駆られました。

そこで、知人に何とか頼み込み、数か月後に会うことが叶いました。

最初に会った日は、鮮明に覚えています。

私のイメージでは、ギラギラのオーラで口八丁手八丁・・・
もしかしたら、まだ子供も居ないのに言葉巧みに「将来のために」なんて上手く誘導されて、
ランドセルでも買わされてしまうのではないか・・・断るのどうしよう?

などなど、つまらないことが頭の片隅をよぎりました。

しかし、初対面で拍子抜けでした。

まるで、もう何度も会っているかのような不思議な親近感と相手を威圧しない穏やかさ、そして映画「男はつらいよ」の「寅さん」のような話の面白さ・・・

そこに、Burberry や ARAMIS  、DAKS  、Dunhillなどお洒落なブランドを着こなし、ダンディな帽子がトレードマーク

この一見、ミスマッチな感じが見事に調和した「面白いおじさん」でした。

そして年齢を聞いて驚き! なんと当時73歳!

聞けば、60歳からランドセル商売をスタートさせたという話
世間の「普通」で言えば「定年退職」の年齢です。

そして、今はパソコンを覚えている、これから先はネット通販でランドセルを売ろうと考えているという話でした。

当時の柳岡さんとの出会いから、「何事も始めるのに遅すぎることはない」と言うことも教わりました。

で、肝心の柳岡さんの「飛び込み営業」の極意は・・・

「買ってちょうだいってお願いしたって、そうそう買ってくれないんだから、お客さんとじっくり話すれば、そのうち買ってくれるようになるよ!その繰り返し、しっかりやりな!」

という答えでした。

ポイントは、「何回か会う、質問する、信頼関係を作る」という大まかなステップ

実は柳岡さんもランチェスター戦略を応用し、エリア戦略を実行して実績を挙げていたのです。
これには、今までどこか迷いがあった私も、モヤモヤがその瞬間ですっ飛び、このまま続けていけば良いんだ! と目の前が急に明るくなりました。

志を明確にして行動して行くと、会いたいと思う人と出会えるものだと、この時つくづく実感しました。

本当に、私にとって柳岡さんは営業の師匠であり恩人です。

通販サイトにもランチェスター戦略を応用して運営スタート

それから約1年半後、私も独立し、柳岡さんへ恩返しを!という気持ちで「ランドセルのまるいや」オンラインショップ立ち上げを企画しました。

まずは、お客様にとっては強烈な キャラクターである「柳岡さん」に焦点を当て、トレードマークのダンディな帽子の似顔絵をロゴマークにデザインしました。

そしてメインのランドセルを詳しくリサーチ
当時のキーワードで「手作り ランドセル」「カンガルーランドセル」「コードバン ランドセル」に絞りました。

ランドセル製造工場にも頻繁に取材しました。

信頼関係で結ばれた職人さんの手で1年間掛けて作られる「最高級ランドセル」です。

他のランドセルが通常250工程ほどの手間で作られるのですが、柳岡さんの販売するランドセルは500工程以上の手間ひまが掛かっていました。

ですので、手に取った瞬間、その「質感」がまるで違うのが素人でも分りました。
そして耐久性、丈夫さなどなど、明確な差別化ポイントが次から次へと出て来ます。

これだけの品質で価格は65,000円(※2006年当時の価格)

正直安いと感じましたが、ベタな「工場直販価格」という打ち出し方にしました。
上品さ、耐久性、質感、どれを取っても最高だった「カンガルー革のランドセル」
※現在は生産終了で、購入できませんのでご了承ください。

このネット通販は、柳岡さんも今まで通り訪問販売を継続して行うので「ネットとリアルの同時並行」で運営し、ネットの方は詳しいカタログの役割も持たせることにしました。

当然、ネット通販は顧客を全国から集めることになります。

ここで次の役割分担を決めました。

柳岡さん・・・訪問販売をしつつ、ネット通販のURLも宣伝。 
地元の見込み客がネットでも購入できるよう、割引クーポンや特典を付け、競合他社や大手量販店に対抗するために戸別訪問を繰り返し、地元エリアの取りこぼしを最小限に留める。
(当時は、個人情報保護法施行前だったので個別名簿を使い訪問していました。)

・・・希少なカテゴリー1位商品「カンガルーランドセル」、そして「500工程の手作りランドセル」を前面に打ち出し、まず初めに「革見本と資料」を冊子にまとめ、資料請求フォームから見込み客の集客を行いました。
発送する資料にも、当然「送料・代引き手数料 無料」クーポンを同封。 最高級ランドセルですから購入するのは、孫へのプレゼントとしての祖父母を対象にする目的もあり、ページ全体を簡素に見やすく、文字も大きくするなど細かな配慮を施しました。

続いて、訪問活動を行う柳岡さんの「機動力」を生かすために、「ご家庭訪問 ランドセル見学」 
団体向けには「幼稚園・保育園訪問見学会」を9月以降に順次受け付けをホームページで開始、お客様からの依頼を受ける体制を整えました。

ざっくりですが、こんな対策を施し2007年9月からの販売シーズンに突入しました。

面白いように成果が出始める!

そして蓋を開けると、9月・10月・11月と倍々で注文が入り続け、12月にはいとも簡単に月商100万円以上を達成しました。

1個当たりの単価が比較的高額であることも原因ですが、ホームページ、ショッピングページ、ブログ、メルマガ、オークション、SEO対策、PPC広告、チラシ、カタログ、名刺、コピーライティング、訪問営業、お客様からの情報収集、紹介依頼などなどあらゆる手段を連動して試し、結果が出続けたことが、当時の私には大きな自信に繋がりました。

この時のデータがノウハウになり、今後のネット通販のお客様への有効なデータになったことは言うまでもありません。

当時のランドセルの販売シーズンは、9月頃~2月初旬まででした。
現在は大手のメディア戦略で、お盆の帰省時期に祖父母を取り込んでしまう目的で5頃月からテレビCMスタート、終盤は売れ残りの在庫を割り引き販売して3月頃終了になっているようです。
少子化がどんどん進み、購入層も明らかに高単価を狙える祖父母をターゲットにしていますね。

続いて次のシーズンもWEBサイトをリニューアル、ランディングページなど改良を施し更なる飛躍を目指しました。

この頃から、マスコミの取材や出演依頼も増えました。
何と言っても「70代で現役営業マン」という 切り口ですから、取材対象としては非常に面白いですね!
写真は、IBS茨城放送へ出演したときの模様です。

2年目もすこぶる順調な売れ行きで、個人宅への見学依頼も多く、群馬・福島・栃木・千葉・東京・神奈川とランドセル持参で飛び回る柳岡さんに運転手のサポートで私も同行しました。

しかし、まもなく個人情報保護法施行で名簿が使えなくなるのを見越して、保育園・幼稚園での団体様開拓も同時に進めて行きました。

保育園・幼稚園へ行っても、柳岡さんのキャラクターは子供たちにとっても愛されました。

あっと言う間に「ランドセルのおじちゃん!」と、子供たちの心を掴んでしまいます。

それもこれも全て、柳岡さんの温かい人間味のなせる技でしょう! とても尊敬してます。 
私に真似出来るか?と言われても、まだ無理です。。。

工場でランドセル内部の補強材をご紹介。工場も、よくここまで見せてくれました。
工場の創業者である、この道50年以上の当時の大社長さんと記念写真
当時、2人合わせて160歳以上!

新しいランドセルを取り扱うことになった際、当時メーカー勤務で担当頂いた御橋さん
新製品のランドセルについて、なかなか機能が覚えられなかった柳岡さん。。。
御橋さんにもいろいろとご苦労お掛けしました。

お二人ともご苦労様でした。

「行動が変われば、結果も変わる」を自ら教えてくれた恩人

ざっと6年間、ランドセルのまるいや オンラインショップを運営させて頂きました。

途中でリーマンショックや東日本大震災など、いろいろな危機がありましたがネット通販では成功した部類に入ると感じています。

しかし、何より上手く行った原因は「柳岡壮一」さん、この人の存在だと思います。

70歳半ばから、パソコンを覚えてインターネット通販で売りたい!という情熱

「手作りランドセル」の品質の高さを、一人でも多くの人に伝えたい!という熱意

買いたい人がいれば、どこへでも行く行動力

もっと売るために、どうすればいいのか? いつも私とミーティングを繰り返す貪欲さ

お客様と信頼関係を結び、お客様からランドセルの感想を貰い、紹介を依頼する、心配り

これだけの熱い想いが伝わって来ましたので、私も柳岡さんのために常に真剣に向き合いました。
正直に言って、私の能力以上の厳しい要求もありましたが、何とか知恵を絞り出したことで新しいアイディアも生まれました。

柳岡さんが私の力を引き出してくれた大恩人であると、いつも感じています。

出来れば米寿の88歳と言わず、100歳まで現役営業マンでいて欲しかったのですが、少子化で前年割れが当然のように続くランドセル業界。
80歳できっぱりと引退する柳岡さん、とても潔い決断でした。

私にとっての営業のベースとなる考え方を伝授してくれた師匠、それが柳岡さんです!

※「ランドセルのまるいや」は、2012年にすべて閉店しております。
 ランドセルの購入に関してお問い合わせ頂きましても、ご回答出来ませんのでご了承ください。
 その代わりに、「訪問営業」や「ネット通販」に関してのご質問には可能な限りご回答致します。

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